授乳の聖母

授乳の聖母


作品情報

制作年
1672
技法
油彩・カンヴァス
種類
絵画
寸法
164 × 107.5 cm

ストーリー

1851年5月4日、ギュスターヴ・フローベールはローマから、コルシーニ美術館にあるムリーリョの聖母に恋をしてしまったと書き送りました。その顔が頭から離れず、両の目が踊るランタンのように目の前をよぎり続ける、というのです。29歳のフローベールは、エジプトと近東をめぐる長旅の帰り道でした。同じ年の9月、ノルマンディーに戻った彼は『ボヴァリー夫人』を書き始めます。

彼が見たのがこの絵です。ムリーリョは1670年代前半、セビーリャでこれを描きました。美術館は、聖なる主題をわずか二人の人物だけで家族の物語のように語る、ムリーリョの力量をここに見ています。マリアは幼子に乳を含ませ、母子そろって深く黒い瞳をこちらに向けます。まるで私たちが不意に部屋に入ってきたかのようです。庶民的とも言えるその顔立ちから、19世紀には「ジプシーの聖母」という呼び名がつきました。

この絵は贈り物としてコルシーニ家に入りました。アルカディア・アカデミーの詩人で、ネーリ・マリア・コルシーニ枢機卿の個人秘書だったジャン・ベルナルディーノ・ポンティチが枢機卿に贈り、枢機卿は自分の寝室に掛けました。2021年の修復で撮られたX線写真から、ムリーリョが最初はこのカンヴァスにひざまずく聖フランチェスコを描いていたことがわかりました。聖人の本と修道服の跡が、今も下からうっすらと見えています。

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