
Sandro Botticelli, Madonna and Child with Angels Carrying Candlesticks, 1487. Wikimedia Commons. · PD
燭台を運ぶ天使たちと聖母子
作品情報
ストーリー
この円形画(トンド)について、いま私たちに残されているのはおもに古い写真です。ボッティチェッリは1487年ごろ、フィレンツェでこれを描きました。背の高い燭台を捧げ持つ天使たちに囲まれた聖母子の姿です。19世紀の末には、ベルリンの絵画館(ゲメルデガレリー)に掛けられていました。市街への空襲が激しくなると、美術館は数百点の絵をフリードリヒスハインの高射砲塔へ移します。ベルリンでもっとも安全な場所のひとつと考えられていた、コンクリートの防空施設でした。1945年5月のはじめ、戦争が終わって間もなく、その内部で二度の火災が起こります。そこに保管されていた400点以上の絵画が失われ、この聖母子もそのなかにありました。今日この作品が白黒の図版とわずかな古い記録からしか研究できないのは、そのためで、制作年もいまだに議論が続いています。ボッティチェッリが何度も立ち返った燭台を持つ天使たちは、私たちがなお見て取れる細部のひとつです。




