
渡し舟の農民たちのいる川の風景
作品情報
ストーリー
1914年5月、戦争前の最後の春に、ベルリンの芸術アカデミーで古い絵画の展覧会が開かれた。出品作は、市の美術館を支援する友の会の会員たちが所蔵品から貸し出したもので、この川の風景もそのひとつだった。貸し主はジェームズ・ジーモン。綿花で財をなした商人で、ベルリン屈指の美術後援者である。エジプトのアマルナでのドイツ隊の発掘も彼の資金によるもので、1912年12月、彩色されたネフェルティティの胸像はそこで土の中から現れた。
ファン・ホイエンがこの板絵を描いたのは1648年。人と牛を乗せた渡し舟が、広い空の下で川を渡っていく。木々は明るい空を背に暗く沈む。こうした風景は、旅先でチョークで描きとめた素描をもとにアトリエで組み立てたもので、水面の映り込みは、板の温かみのある下地の上に薄い透明な層を重ねて出している。
1927年までに絵はベルリンの画商の手に渡った。その後アムステルダムのコレクションを経てイギリスへ移り、1994年、ボストンの収集家エイク・ファン・オッテルローとローズ=マリー・ファン・オッテルローの夫妻がニューヨークの競売で手に入れた。二人は2017年にこれを美術館へ寄贈した。



