
Peter Paul Rubens · PD
聖マタイ
作品情報
ストーリー
武器が人物に合っていない。それも承知のうえである。徴税人から使徒、そして福音書記者となったマタイが手にしているのは、ルーベンスの時代に衛兵が携えていた長柄武器、ハルバードで、彼を殺した得物の代わりに置かれている。使徒連作の画家たちはこれを日常的にやった。広間の端からでも十二人を見分けられるよう、各人に殉教の道具が要るからである。むしろ珍しいのは顔立ちのほうだ。ルーベンスはマタイに髭をまったく与えず、栗色の髪の若い頭にしている。美術館は、画家がペーター・イッセルブルクの版画などの印刷物も下敷きにしたと見ている。板絵が描かれたのは1610年から1612年、イタリア滞在八年から戻って間もない時期で、ミケランジェロを思わせる体の重さにも、裸の暗い地に当たる一条の強い光にも、それが出ている。連作はレルマ公の所蔵だったが、その後1746年の王室目録に現れるまでのあいだ、これらの板について確かなことは何も分かっていない。




