
Raphael, Saint Sebastian, 1501. Wikimedia Commons. · PD
聖セバスティアン
作品情報
ストーリー
聖セバスティアヌスといえば、矢に射抜かれ木に縛られた殉教者の姿が定番だった。だが1501年ごろ、まだ十代のラファエロは、その血なまぐささをいっさい描かなかった。優美な若者が一本の矢を花のように指先でつまみ、静かにほほ笑んでいる。金色の巻き毛や柔らかな衣は、師ペルジーノ譲りのウンブリア風の甘さそのものだ。背景には、遠くのなだらかな丘がかすんで広がる。殉教の苦しみは、彼が手にした細い矢一本だけに、そっと託されている。




