
Eugène Delacroix · PD
座る裸婦
作品情報
ストーリー
右腕を差しのべた女性の手は、暗がりのなかに浮いている。アトリエではこの腕を支える台があったはずだが、ドラクロワはそれを描かなかった。角ばった腰掛けと、何もない暗い背景も、モデルを前にした実習の場をそのまま伝えている。モデルはマドモワゼル・ローズの名で知られる職業モデルで、1820年ごろ、師ピエール=ナルシス・ゲランのアトリエで若いドラクロワのために何度もポーズをとった。凝った流行の髪型のおかげで、頭部はほとんど肖像画のように見える。ある同時代人によれば、昼間ルーヴルでルーベンスやレンブラントを模写していたドラクロワは、ある日モデルの肌にそれまで気づかなかった色合いを見いだし、わずか二度の写生で人物を仕上げて家に持ち帰り、自分は絵が描けるようになった、昨夜からだ、と友人たちに言ったという。この作品は1986年、ベルリンの旧国立美術館に収蔵された。




