
トマス・モア
作品情報
ストーリー
この板絵にはもとになった絵がある。ハンス・ホルバインが1527年にロンドンで描いたトマス・モアの肖像で、モアはその8年後、ヘンリー8世を英国教会の首長と認めなかったために斬首された。ルーベンスはおよそ百年のちにその図様を取り上げ、自由に作り変えている。ホルバインのモアは重い職掌の金鎖を首に掛け、背後には緑の垂れ幕がある。ここにはどちらもない。残っているのは毛皮で裏打ちされた上着、赤いビロードの袖、両手にはさんだ折りたたんだ紙、そして光のほうへ向いた顔である。モアが属した人文主義の世界をルーベンスは身近に知っていた。兄フィリップがルーヴェンでユストゥス・リプシウスに学んでいたからである。1652年にはアントウェルペンの個人蔵、1746年にはラ・グランハ宮殿のイサベル・デ・ファルネシオの絵のなかに数えられている。




