
Lawrence Alma-Tadema · PD
春
作品情報
ストーリー
アルマ=タデマが描いたのは、実際には一度も存在しなかったローマの春の行列である。彼が暮らしたイギリスでは、子どもたちが五月一日に野へ出て花を摘む習慣がまだ残っていた。彼はこのヴィクトリア朝の風習を古代ローマへと巻き戻し、大理石の階段を下ってくる春の行列を思い描いた。上のバルコニーからは群衆が花を投げかけている。制作には四年ほどを費やし、碑文や銀器、一体の彫像など、本物のローマの品々で画面を埋めた。その多くは彼が実際に目にした遺物を写したもので、空想に確かな手ざわりを与えている。古代にこのままの祭りがあったわけではなく、いくつもの春の祭祀の面影を一つの華やかな行列に溶かし込んだのだ。完成するとすぐ、ドイツの銀行家ロベルト・フォン・メンデルスゾーンが1894年にこれを買い取った。




