
El Greco, Tears of Saint Peter, 1592. Wikimedia Commons. · PD
聖ペトロの涙
作品情報
ストーリー
1563年に閉じたトリエント公会議は、告解の秘跡をあらためて教義として確かめた。罪を言葉にし、悔いて赦しを願う。その教えを絵にするとき、キリストを三度知らないと言った弟子ペテロは格好の主題になった。エル・グレコがこの図柄を手がけたのは1587年から1596年ごろで、彼は聖人をひとりだけ、半身で、涙に濡れた目のまま画面の手前に押し出している。物語も群衆もない。祈る人が自分の顔と向き合うほどの距離である。この構図は評判をとり、工房で何度も繰り返された。同じペテロはワシントンにもオスロにもメキシコ市にもあるが、トレドの美術館はこの一点を最も出来のよい版と見なしている。




