
Diego Velázquez · PD
針仕事をする女
作品情報
ストーリー
ベラスケスがこの絵を描いていたころ、彼はマドリードの宮廷でフェリペ4世に仕える画家だった。宮廷の格式ばった肖像画とはまるで違い、これは針を持つ一人の女性を、飾りなく間近からとらえている。よく見ると顔だけがしっかり描き込まれ、腕や手は数筆の走り書きのまま残されている。縫う手の動きが、まだ乾かないうちに止まったように見える。じつはこの絵は未完成で、1660年に画家が世を去ったとき、彼のアトリエに置かれたままだった。死後の財産目録には「針仕事をする女の頭部」と記されている。モデルが誰かは分かっていないが、身近な女性だったのではないかと考えられている。完成しなかったからこそ、私たちはベラスケスがどこから筆を起こし、どう形を積み上げていったのか、その手順をのぞき見ることができる。




