
拒まれた手紙
作品情報
ストーリー
1650年代のネーデルラント連邦共和国では、恋文が流行していた。フランスのジャン・ピュジェ・ド・ラ・セールによる手紙の文例集は、1643年から1664年のあいだに少なくとも30版を重ね、1651年にはオランダ語訳も出た。あらゆる手紙の決まり文句、とりわけ恋文の言い回しがそこに用意されていた。当時のオランダ絵画では、手紙はたいてい書かれ、届けられ、読まれる。1655年から1658年ごろに描かれたテル・ボルフのこの板絵は、手紙が断られる場面だ。男が手紙を差し出し、その前に立つ若い女性は受け取ろうとしない。美術館は、その拒絶が貞淑さゆえだと分かる手がかりを示している。彼女の傍らのテーブルには洗面器と水差し、ブラシと櫛が置かれている。当時の人々にとって、これらは清潔さを、ひいては純潔を意味していた。




