
El Greco, The Tears of Saint Peter, 1585. Wikimedia Commons. · PD
聖ペテロの涙
作品情報
ストーリー
エル・グレコがトレドでこれを描いた1585年ごろ、カトリック教会は対抗宗教改革を進め、プロテスタントが退けた告解、すなわち悔悛の秘跡を強く擁護していた。だからこそこの主題は人の心を打った。ここに描かれる聖ペテロは、使徒の栄光からはほど遠く、ただ涙にくれている。キリストの受難の前夜、彼は鶏が鳴く前に三度主を否んだ。いま彼は涙に濡れた目を上げ、悔いて手を合わせる。腰にはなお天国の鍵が下がっている。エル・グレコはこの悲しみの瞬間に早くから目を向けた画家の一人で、少なくとも六回はこの主題に立ち返った。ボウズ美術館のこの一点は、最も早い作例と考えられている。




