
バーリントン・ハウス・カルトン
作品情報
ストーリー
「カルトン」とは本来、壁画や板絵に図柄を写すための原寸大の下絵を指す言葉です。ところがこの紙には、輪郭を写し取るための針穴も、なぞった刻み跡も見当たりません。そこでナショナル・ギャラリーの学芸員ペル・ルンベリは2024年、これを独立した提示用の素描とみる説を発表しました。1507年ごろ、フランス支配下のミラノで働いていたレオナルドが一時フィレンツェに戻り、政庁舎パラッツォ・デッラ・シニョリーアの大評議会の間に置く祭壇画の案として、依頼のないまま示したものだというのです。この仕事は結局1510年に、画家フラ・バルトロメオに与えられました。
制作年についても見方が分かれてきました。古い文献は1499年から1500年ごろとしてきましたが、ギャラリーは現在、1506年から1508年ごろとしています。木炭と白チョークで八枚の紙を貼り継いだ上に描かれ、レオナルドの大型素描として残る唯一のものです。聖母の顔や幼子の体はやわらかく仕上げられている一方、上を指さす聖アンナの手は輪郭線だけのまま残されています。





