
Paul Klee · PD
ヴィラR
作品情報
ストーリー
クレーがこの小さな板絵を描いたのは1919年、ドイツ軍から戻った翌年のことだ。戦争中は前線からずっと離れた後方で、飛行機を塗ったり事務仕事をしたりして過ごしていた。ドイツは革命の騒乱のただ中にあったが、彼が組み立てたのは静かな、おもちゃのような風景だった。白い別荘が赤い道の脇に立ち、その道は蛇行しながら丘へと登っていく。上には黄色い月が浮かび、手前には大きな緑色の文字Rが、まるで舞台装置の一部のように据えられている。このRはふつうRosaと読まれる。何年も前、ゲーテのイタリア紀行を手にイタリアを旅したときに見た、あるヴィラ・ローザにちなむという。二年後、彼はワイマールに新しくできたバウハウスで教えることになる。描かれたのは、紙一枚よりわずかに大きいだけの厚紙だった。



