
Johannes Vermeer, Christ in the House of Martha and Mary, 1650. Wikimedia Commons. · PD
マルタとマリアの家のキリスト
作品情報
ストーリー
フェルメールといえば、窓辺の静かな室内を思い浮かべる人が多い。だがこの大きな画面は、彼がまだ二十代前半、故郷デルフトで画家として歩みはじめたころのものだ。現存するフェルメール作品のなかで最も大きく、聖書の場面を描いた唯一の一枚でもある。台所仕事に追われる姉マルタが、足もとに座って話に聞き入る妹マリアを目で示し、キリストに訴えかける。ルカによる福音書のこの逸話で、キリストはマリアを咎めず、彼女は良い方を選んだと答える。パンを入れた籠に落ちる光や、人物のゆったりとした身ぶりに、後年の静けさの兆しがすでにのぞいている。この一作のあと、フェルメールは物語画を離れ、日常の室内の情景へと向かっていった。




