
Johannes Vermeer, The Astronomer, 1664. Wikimedia Commons. · PD
天文学者
作品情報
ストーリー
1668年のオランダは、望遠鏡や顕微鏡といった新しい道具が世界の見え方を変えつつあった時代でした。デルフトに住むフェルメールは、その好奇心の空気を一枚の室内に閉じ込めています。学者は星の位置を示す天球儀にそっと手を伸ばし、机には測量や航海のための書物が開かれています。この天球儀は当時実際に作られたホンディウスの製品を写したもので、隣り合う『地理学者』にも同じ人物が描かれていることから、モデルは同じ知人だったと考えられています。画面の右下には1668年の署名と年記が残ります。じつはこの絵の裏側には、まったく別の時代の痕跡もあります。第二次世界大戦中、パリのロチルド家から接収され、一時ヒトラーの手に渡ったしるしの小さな鉤十字が、いまも黒いインクで押されています。




