
Johannes Vermeer, View of Delft, 1661. Wikimedia Commons. · PD
デルフトの眺望
音声ガイド
作品情報
ストーリー
17世紀半ば、オランダはその黄金時代の絶頂にあった。1654年、フェルメールの故郷デルフトでは火薬庫が爆発し、街の一角が吹き飛んで画家ファブリティウスも命を落としている。この絵が描かれた1660年ごろ、街はすでに復興を遂げていた。フェルメールはスヒー川の対岸に腰を下ろし、朝の光のなかで水面越しに故郷を見つめた。手前の城門や停泊する船は影のなかに沈み、奥にそびえる新教会の塔だけが陽を受けて明るく輝く。この塔の下には、独立戦争を率いたオラニエ公ウィレムが眠っている。近づいて見ると、屋根や船体の点々とした絵具の粒が、濡れた光の反射そのもののように置かれているのがわかる。のちに作家プルーストは、この絵のなかの「黄色い小さな壁面」に取り憑かれ、小説『失われた時を求めて』で作中の作家をその絵の前で死なせた。




