聖母子と聖カタリナ
作品情報
ストーリー
この聖母子は、ヴェネツィアにあったティツィアーノの工房から生まれました。16世紀ヨーロッパでも指折りの多忙な絵画工房です。ティツィアーノは注文が多すぎて、このような信心用の絵は、すでに練り上げた構図をもとに、仕事の大半を弟子たちに任せて仕上げていました。マリアが幼子を抱き、そのかたわらにアレクサンドリアの聖カタリナがひざまずいています。この配置はティツィアーノ自身の作品で用いたもので、工房は、家で祈るためのティツィアーノを求める人々のために、それを繰り返し描きました。カタログはこの一点を1600年ごろとしています。つまりティツィアーノが1576年に世を去ったのちのことで、かつての弟子や追随者が、彼のやり方を町のなかで保ち続けていた時期です。温かな色合いと、やわらかく自在な筆づかいは、この工房が知られていたヴェネツィア風の流儀です。同じ構図は、カタリナに代えてマグダラのマリアを置いた形でも伝わっており、評判のよい型が注文に応じて変えられていたことがわかります。




