
Anthony van Dyck · CC-BY-SA-2.0
老人の肖像
作品情報
ストーリー
ヴァン・ダイクがこの老人を描いたとき、彼はようやく二十歳を過ぎたばかりで、なおアントウェルペンにあってルーベンスの影響下にあった。ルーベンスの工房を出て独り立ちしたばかりだった。制作は1621年ごろ、彼がヴェネツィア派を学びにイタリアへ発つ年にあたる。描かれた人物の名は今では伝わらない。この絵は対の片方で、ヴァン・ダイクが対幅として描いた老女の肖像と並んで掛けられていた。年老いてから肖像を残そうとした夫婦とみてほぼ間違いない。若い画家が二人に与えたのは、ルーベンス譲りの温かみでありながら大仰さのない、間近で飾らない筆致で、彼がイタリアの、のちにはイングランドの宮廷へ移る前に、アントウェルペンが求めた落ち着いた市民の肖像そのものである。ブリュッセルのこの美術館は1942年、この一対を寄贈として受け入れた。




