
喫煙の情景(味覚)
作品情報
ストーリー
ブラウエルの時代のアントウェルペンでは、パイプをくゆらすことを必ずしも「吸う」とは言わなかった。当時の財産目録には「タバコを飲む者たち」を描いた絵が記されている。日本語の「たばこをのむ」にも通じる言い方で、これを知ると、パイプが五感のうちの味覚を表しうることも腑に落ちる。この小さな板絵は五感の連作の一枚で、ミュンヘンには同じ連作から触覚と聴覚の二点もある。美術館がまず注目するのは手前の男だ。こより状の紙の付け木でパイプに火をつけようと集中するあまり、目はほとんど寄り目になっている。こけた頬は、最初の深いひと吸いを物語る。美術館はブラウエルの筆づかいを、くだけていながら正確だと評する。場面のすべてが、高さ24センチほどの板に収まっている。




