
良き母
作品情報
ストーリー
トリノではこの小さな板絵は「ラ・ブォーナ・マードレ」、つまり「良き母」と呼ばれています。この題には、17世紀のオランダで広く知られていた理想が映っています。1625年、国内でもっとも広く読まれた作家のひとりである詩人ヤーコプ・カッツが、結婚をめぐる長大な韻文の書『ハウウェリック』を出版しました。少女時代から寡婦となるまで女性の一生をたどる本で、母の章では、母親は自分の乳で子を育てるよう説き、夫がよその乳母を雇うのは正しくないと述べています。カッツの本は何度も版を重ね、フランス・ファン・ミーリスが1670年頃にライデンでこの絵を描いたころも、その理想はまだ身近なものでした。アーチ形の石の窓辺に、胸元の開いた服の若い女性が座り、年上の子が、産着にくるまれた赤ん坊に身をかがめて口づけしています。窓台にかけられた緑の布の上には、小さな丸パンがひとつ置かれています。



