
良き母
作品情報
ストーリー
フラゴナールはこの構図を一度ならず描いています。ボストン美術館は、この楕円形の作品を、いま個人蔵となっている絵を画家自身がくり返したものと考えており、制作は1777年から1779年ごろです。白い頭巾にばら色の胴着の若い母親が、庭の石のベンチに腰かけています。膝には小さな娘が寄りかかり、かたわらの柳の揺りかごでは赤ん坊が眠り、右下からは花があふれ出しています。美術館はこの場面を、母親がこれから娘の顔を洗ってやろうとする瞬間と読んでいます。この絵の初期の来歴は、パリの美術市場をたどります。1798年2月、画商ピエール=ジョゼフ・ラフォンテーヌの売り立てに出た楕円形の「良き母」が、ほぼ間違いなくこの作品です。1806年4月に再び競売にかけられ、二つの売り立てを取り仕切った競売人アレクサンドル・パイエ自身が買い取りました。その年の8月、フラゴナールは世を去ります。1913年には画布はニューヨークのサミュエル・バートロンのものとなり、1944年、ボストンの収集家ロバート・トリート・ペインの遺贈によってボストン美術館に入りました。




