
Peter Paul Rubens · PD
イサクの犠牲
作品情報
ストーリー
ルーベンスがこの板絵を手がけた1612年ごろ、アントウェルペンはめずらしく戦争から離れていた。スペインとオランダの戦いは十二年休戦でいったん止まり、街の教会は、聖像破壊で失われた祭壇画を競うように注文し直していた。イタリアに八年滞在して1608年に故郷へ戻ったばかりの画家のもとには、その仕事が途切れずに回ってきた。
画面は、息子を殺そうとするアブラハムの腕を、斜めに飛び込んできた天使がつかんで止める瞬間である。緋色の衣の強い色はヴェネツィア絵画から、体のうねりはミケランジェロから来ており、ネルソン・アトキンス美術館はイサクの上体を古代彫刻のようだと記している。藪のなかでは、身代わりの雄羊がすでに待っている。




