
聖母子
作品情報
ストーリー
クラーナハはこの板絵に、翼を広げた小さな蛇の標章と1529年の年記を記した。その年が重要だ。1529年2月、いまこの絵が掛かるバーゼルでは、聖像破壊の嵐が起きた。人々は教会から彫像や絵画を運び出し、広場で焼いたのである。宗教改革がもたらした聖画像の否定の一環だった。このような優しい聖母像こそ、まさに攻撃の的だった。クラーナハは両陣営に仕え、プロテスタントのヴィッテンベルクに納めながら、なおカトリックの注文主のために聖母を描き続けた。ここでは聖母がやや横を向いて座り、幼子キリストを抱く。その手には一切れのパンが握られ、ミサのパンをそっとほのめかしている。




