
Anthony van Dyck · PD
慈愛
作品情報
ストーリー
「慈愛」は信仰、希望と並ぶキリスト教の三つの対神徳のひとつで、ふつうは乳を与える母親の姿で描かれた。ヴァン・ダイクはそこに三人の幼子を配し、子どもたちは女性の体によじ登っている。女性自身は天を仰ぎ、力の源である天上に目を向けている。制作は1627年から28年ごろ、画家がおよそ六年のイタリア滞在を終えてアントウェルペンに戻った直後で、その経験は色に表れている。聖母の伝統的な色であるウルトラマリンの青いマント、白い衣、重い赤の布。ティツィアーノに学んだ色づかいである。支持体も珍しい。ヴァン・ダイクはふだんカンヴァスに描いたが、ここではオーク材の板を選んだ。板の上では絵具をなめらかに溶け合わせることができ、筆跡はほとんど消えている。ナショナル・ギャラリーはこの画面をエナメルにたとえている。




